杭州-Hangzhou-
8.6日目 6月10日 杭州 西湖
北京からの軟座の席は、背もたれがうまい具合に頭にフィットしない造りになっており、
いまいち寝付かれないまま朝を迎えた。
当初、杭州は到着した1日で観光を終え、夜にはさらに南の福州へ行こうという計画でいた。
福州なんて最初は名前すら知らなかったのだが、北京大学で会った香港人留学生たちの陽気さを見て、
「やはり南の人は陽気なんだろうか」という素朴な疑問のもと、
南へ下ってみようという案が出たのである。
ところが、この杭州、人がメチャメチャ良いのだ。
道に迷ってお姉さんに聞けば、お姉さんは自分が知らなかったにもかかわらず、他の道行く人に尋ねてくれるし、
お兄さんに聞けばタクシーの運転手に尋ねてくれただけでなく、
「そこまでこのタクシーで行きなさい」とお金まで払ってくれたのだ。
杭州人マンセーだ。
街の雰囲気も、どことなくファッショナブルで垢抜けていて、それでいて都会過ぎず、すごく居心地がいい。
私達は予定をまた変更して、急遽一泊する事にした。
駅の客引きに連れてこられた宿は、いかにも外国人を泊めないモグリの宿のようだったが、
ガイドブックには高い宿しか載っていない杭州で、一泊40元(600円)で宿泊する事が出来た。
私達はとりあえずシャワーを浴びて気分を一新し、それから杭州の観光の目玉である、西湖へ向かった。
西湖はとても大きな湖で、最初レンタサイクルを借りて景観ポイントを見て回ろうと思っていたのだが、
自転車の国にもかかわらずどこに行ってもレンタサイクルというものがなく、
私達はスワンのような2人乗りのミニボートをレンタルして西湖に出る事にした。
ミニボートはエンジンがついているのだが、故障しているのか、明らかに回りのボートよりスピードが遅い。
トロトロ運転していると、1艘のボートが私達に近づいてきた。
そしてなんと激突!
私達のボートにわざとぶつかってきたのだ。
よくよく見ると、相手は若い男衆のようだったので、
イチャモンつけるのは取りやめ、女らしくキャーキャー言って応戦していると、
そのうち彼らは私たちのボートの手綱を取り、気づけば広い湖で2艘のボートが並走していた。
ボートに乗っていたのは若い男の子3人で、名前を聞いても覚えられないので、
一番のイケメンを王子、
王子の後ろで一生懸命背伸びして頑張る小太りの少年をトンガリ、
そんな2人を見守るお兄さんを爺や、と名づけた。
(左)西湖をバックに。中国人的ポーズ。(中・右)湖の上で、ギリギリまでボートをくっつけて写真を撮ったり。
レンタル時間が終わり、ボートを返した私達は、西湖を囲む公園を一緒に散歩することにした。
王子は一旦姿を消したかと思うと、両手にファンタオレンジを持って走ってきた。
あまりに爽やかな絵である。
すっかり上機嫌で、写真に筆談に花を咲かせて散歩をしていると、王子がどこかへ連れて行ってくれると言う(言ってるっぽい)。
ついて行くと、ポラロイドカメラを持った人がおり、どうやら記念撮影をしようという事らしい。
どうしてカメラマンがあそこにいたのかはよくわからないが、
私達は王子を挟んで写真を撮り、トンガリも撮って欲しいというのでトンガリを挟んで写真を撮った。
写真の余白には、王子のサインを入れてもらい、トンガリも書きたそうだったので書かせてあげた。
(左)王子と。背は小さかったけど、かっこいかった♪(中)トンガリと。下の“我喜ヌ欠美女”って美女に囲まれて嬉しいって事??
(右)西湖をバックに、王子とトンガリと。
それからさらに王子はどこかへ連れて行ってくれるらしい。
とりあえずついて行くと、タクシーを止め、一緒に乗ろうと言う。
どこへ向かっているのかもわからず不安ではあったが、
2人一緒である事、そして爺やが
「ちゃんと送るから心配しないで」と(多分)書いて渡してくれた筆談メモを信じ、杭州の街を走った。
そして、とあるアパートの前でタクシーは止まり、降りると王子は「ちょっと待ってて」と言って、アパートの中に消えた。
私達はアパートの前で待っていたのだが、なかなか戻ってこない。
するとまなっぺがこんな事を言い出した。
「荒ちゃん、眠くない?」
私は眠くはなかったが、まなっぺは何だか眠たいと言う。…まさかあのファンタに何か入ってた?!
急に王子達が怪しい人に見えてくる。とりあえず貴重品をパンツの中に隠す。
しばらくたって、王子が戻ってきた。
王子は颯爽と交通量の多い大きな道路に躍り出て、タクシーをつかまえた。
運転手にお金を渡して何やら告げ、私達に乗れと言う。
王子も一緒に乗るのかと思いきや、窓から「じゃあね!」
全く理解できない私達。
結局「え、え?!」と言ってるうちにタクシーは走り出し、何ともあっけない別れとなってしまった。
タクシーの運ちゃんに、今私たちはどこへ向かっているのか、王子は何を言ったのかを尋ねると、
「夕日が綺麗に見えるスポットへ連れて行ってやってくれと頼まれた」と言う。
思い返せば私達は、西湖からタクシーに乗る時、てっきり宿へ送られるのだと思って、
「今日はこの後夕日を見るからまだホテルには帰らない」と言っていた。
それを知っていて、夕日の綺麗に見えるポイントへ私達を送ってくれたのか。
アパートに寄った意味他わからない点もあったが、
それにしても私達に何も告げず、望んでいた場所へ送り届けてくれるというそのハイセンスな手口に、単純な私達は
メロメロになっていた。
「雷峰山」という夕日スポットに到着した私達は、
「1番綺麗な夕日を見よう!」と、そこにあった塔の一番上まで上って、夕日を待った。
記念撮影に盛り上がる中国人観光客に邪魔者扱いされながらもベストポジションをキープし、
王子の粋な計らいのおかげで夕日は本物の2倍も3倍も美しく見えた。
(左)夕日を見た塔の前。 (中左)夕日を待つ私。 (中右)西湖に落ちる夕日。王子ありがとう★(右)王子にメロメロポーズ。
夕日を堪能した私達は、雷峰山のふもとにあるレストランに入ることにした。
上機嫌だった私達は、たまにはリッチに行こうという事で意気投合し、たくさんのご馳走を頼んだ。
あまりに頼みすぎて店員に止められるほど頼んだ。
ウサギなどの珍品もありつつ、私達はご馳走をお腹いっぱいに食べた。
この日は、朝杭州に着いてからずっと思いつきで行動していて、予定通りに進んだものなどひとつもなかったが、
でもとっても充実した1日となった。
これが個人旅行の醍醐味なのかもしれないと1人噛み締める荒木であった。
6.7日目 6月11日 杭州 石窟寺院
この日は、そもそも杭州に来るきっかけになった、あの石窟寺院を見に行く事にした。
ちょっと中心部から離れたところにあるため交通手段がよくわからず、人に聞くのだが、どの人も言う事が違う。
その人その人が言うままに進むと、気づいた時には絶対違うだろここ、というような山道を歩いていた。
どこまで続くかもわからない山道を歩いていると、後ろを歩いていたおばさんに声をかけられた。
この先にある村でお茶を作っているのだそうで、話しているうちに、よかったら飲んでいかないか、という話になった。
「なんかウルルンっぽい!」
私達はまた素敵な出会いを手に入れ、おばさんの家でお茶をご馳走になる事にした。
よく見ると、歩いていた山道の両サイドはお茶の木が植えられており、ここ一帯はお茶作りで栄えているようだ。
(左)道路脇のお茶畑。 (右)こんな喫茶店?も多かった。
おばさんはグラスになみなみと熱いお茶を注いで出してくれた。
2種類のお茶を出してくれたのだが、どちらもおいしい。
おばさんは私達の嬉しそうな顔を見て、どんどん注いでくれた。
こんな優しい人が育てたお茶が欲しい。思い出に持って帰りたい。
きっとこの場にいたら、誰もがそう思ったと思う。
そこで私は、いくらぐらいで売ってもらえるものなのかを尋ねてみた。
すると、明らかにふっかけられているとわかる値段だった。
多少高くてもいいとは思ったが、あまりにも高かったので、値切り交渉を試みる。
いつの間にか部屋にはおばさんの母だろうか、一人の婆さんがいて、値切り交渉の相手は彼女になっていた。
婆さんはなかなか気の強い人で、全然交渉に応じようとしない。
ついに私達は、そんなに高いのなら街のお茶屋さんでもっと安く買えるだろうからここで購入する必要はない、という結論に達し、
婆さんに買わない旨を伝えた。
すると、驚く事に婆さんはこう言った。
「お茶を買わないなら、さっき飲んだ分として10元を払え!」
私達はさすがにびっくりしてしまった。
もちろんおばさんがご馳走してくれると言ったのだから、私達に払う義務はない。
怒った私達は、口先ではありがとうと言いつつも、顔は明らかに怒ったままで、結局その場を去る事になった。
寺へ向かう道では、お金が絡むと人が変わってしまったり、人の汚い部分が見えてしまうよね…なんて、少しブルーな会話をしつつ歩いていたのだが、
しかしまぁ会う人会う人「龍井茶は飲んだか?」と声を掛けて来る。
もしかして家へ招待するのはここら一帯の商法だったのか…?
結局2時間近くかかり、やっと霊隠寺に着いた。
みんなどのルートを通ってきたのか、ここにはたくさんの観光客がいた。
私達はあちこちと迷いながらも、あの大黒様を見つけた。
意外に小さいな、というのが正直な感想ではあったが、
この大黒様を見に杭州に来たお陰で王子達と会えたのだから、私達はしっかりと大黒様にお礼を言った。
(左)大黒様。いい顔してらっしゃる。王子達との出会いをありがとう。(右)他にも洞窟内にたくさんの仏像が彫られていた。
実はこの大黒様をはじめとした石窟像たちは、霊隠寺の前フリで、霊隠寺自体はまだ奥にある。
私達は霊隠寺本堂へ向かった。
本堂の仏像たちは、そのサイズで私達を驚かせてくれた。
同じ仏教といえ、日本のものとは全然違う。とにかくでかいのだ。
しかもそんなでっかい立像を壁からヒモで斜めに立て掛けてるもんだから、その迫力といったら、
本当に襲い掛かってくるのではないかという気がするほどだった。
今までにタイや日本の仏像を見てきたが、そのどちらとも異なる中国の仏像は、「中国らしい」としか言えない味わいを持っていた。
(上)霊隠寺の本堂。中の写真は撮れず…。
帰り道はバス1本で、メチャメチャ早く帰ってくることが出来た。
一体行きの道はどれだけ回り道をしたのだろう。
微妙な無力感に襲われつつ、私達はそれをかき消すために、昨晩並みの豪勢な食事をとる事にした。
ピーナツのアイスやピータンのおかゆなど、頼んだものは全部おいしく、私達はご機嫌でレストランを後にし、
福州行きの列車(硬座・113元・1700円)に乗った。
(左)杭州⇒福州チケット。 (右)ペットボトルのラベル。中国のタッキーに違いない。
硬座は、2人がけの席が向かい合う形になっており、私達の向かいには、優しそうなおじさんと、
北島康介似のお兄さんが座った。
康介は私の向かいに座っており、中国に来てからの男運の良さに私はご機嫌だったのだが、2,3つ先の駅で降りてしまった。
そこからは、それまで私達の席の横に立っていたお兄さんが座った。
もし席に空きが出来なかったら、一晩立ったまま過ごす事になっただろうに、それで乗ってくるこの人はすごいと思った。
兄ちゃんとおじさんは、何やらよくしゃべっている、
友達なのかと聞くと、今ここで初めて出会ったと言う。
中国では、列車などの席で隣になった人とこうして話すのはいたって普通の事なんだそうだ。
日本では考えられない光景に、私達は本当に驚いた。
というわけで、私達も初対面にも関わらず会話に混ぜてもらい、色々な話を聞かせてもらった。
しかし、私達の中国語とあっちの英語にも限度があり、夜の11時を回った頃から、お互い疲れが隠せなくなってきた。
そこで私が質問した。
「眠たくないですか?」
「眠たいよ。でね、さっきの話なんだけど…」
眠たいなら寝ようぜ!
中国人の話好き具合にはびっくりである。
私達は、兄ちゃんの話がいつ終わったのか記憶もないまま、いつの間にかカバンを枕に、座ったまま眠っていた。
10. 8日目 6月12日 福州
横になれずに一晩過ごし、疲れを残したまま福州駅に到着した私達は、まずリコンファームを済ませる事にした。
(※格安航空券では、帰国日の72時間前までに、乗りますという事を航空会社に連絡しなくてはいけない。)
実は昨日の時点でリコンファームの期限は過ぎていたため、まっすぐに駅の貸し電話に走った。
無事席は確保されており、ホッと一息、私達は旅行会社で、いよいよ最終地点上海行きのチケットを購入した。
すると、そこの人が安いホテルも紹介してくれた。
ホテルに直々に電話をかけてくれて、私達は四ツ星ホテルに正規価格よりカナリ安い値段で泊まれる事になったのである。
いつも貴重品は肌身離さず持ち、荷物は常にくくりつけ、気を張る生活をしていた私達にとって、
セキュリティーにおいて普段の倍以上の信頼のおけるホテルに泊まった私達は、心身共にかなりリラックスして休息をとる事が出来た。
この福州は、とても小さな町で、特に見る場所もない。
唯一ガイドブックに載っていた「烏石山風景区」というところに向かってみる。
狭い路地を抜け、ちょっとした石段を登ると、小高い丘の上から福州の町を見下ろす事が出来た。
綺麗、と言いたいところだったが、私達は何とも切ない気分にさせられてしまった。
目の前には山を切り崩す工事現場、奥には背の高いビル群。
せっかくの古い美しい町並みが、目の前でどんどん破壊されている。
もちろん、彼らが利便性を求め、開発を進める事は理解できる。
そしてここからそれを眺める私達は、利便性の国から昔の良さを求めてここへやって来た。
なんだかなぁ。。。
DevelopingとDevelopedの違いって何なんだろう。
どっちがどっちに学んでいるんだろう。
何だかやりきれない気分になった私達は、この風景を前に、もどかしい気持ちを2時間近く語り合った。
(左)手前に崩される緑、後ろに建築中の建物…。(中)古い建物と新しい建物が、隣合っている。
(右)実はこの風景区のメインは、この書の入ったガジュマルの木だったらしい。
丘を下り、ホテルまでの道のりを散歩がてら歩いていると、市場が現れた。
市場の入口で、少女がバケツの前に座っている。
中を覗くと、カエルとカメが入っていた。カメは、うちで飼っているのと同じ種類だ。
「…食べるの?」「うん。」
4つ足のものは机以外何でも食べる、とは聞いていたが、自分のペットが食べられていると知ると、
やはり何とも言い難い気持ちになった。
食用なのか悩むようなものがたくさん並んだ市場を出た私達は、道脇に公園を見つけた。
ジャングルジムや鉄棒のある、日本と同じ、普通の公園である。
しかしここは中国。
この公園では、爺さんは体操してるわ兄ちゃんは鉄棒で筋トレしてるわブランコに洗濯物は干してあるわ、
ここはまさしく庶民の生活の場であった。
(左)公園。まなっぺの盗撮。 (中・右)福州の町並み。中国っぽいですね〜。
11. 9日目 6月13日 福州
この日は特に予定もなく、熟睡した爽やかな目覚めの後、とりあえず近所のスーパーを見たりした。
それから私達は、まなっぺの提案で「エッグタルト」を探す事にした。
日本の中華料理屋さんでもあるくらいだから、探せばすぐにあるだろうと思っていたのだが、
どこに行っても「メイヨー(ない)」ばかり。
挙句の果てには変な客引きの兄ちゃんに追っかけ回され、私達は空腹も手伝ってカナリ不機嫌になってしまった。
イケメンじゃないとついて行かんぞ。
そんな感じでホテルに戻ると、ホテルのドアボーイのお兄ちゃんがカワイイ。
黄色いチャイナの制服が似合っている。笑顔がたまらなくカワイイ。
このお兄ちゃんに追っかけられたかった。
私達はすっかり機嫌を戻し、タクシーで福州駅へ向かった。
そして、ついに最後の街、上海へ向かう。
今回は硬臥(234元・3510円)という3段ベッドの一番上段を取っていた。
1番上が1番安全だ、とは聞いていたが、あまりに狭い。
普通に座る事も出来ない。
つまり天井までの距離が座高よりもないという事だ。
私は、動く気にもなれず、夕方の5時にも関わらず、列車が動き出して速攻寝た。
気づけばもう朝、上海に到着していた。
まなっぺはその間に中国人のおじさんとご飯を食べたり交流をしていたらしい。
なお、後で聞いた話によると、夕方から一切動かずに眠り続ける私を、下の段のおばちゃんは本気で心配していたらしい。
(左)福州の人は、みんなこんな帽子をかぶっていた。(中)ホテルには必ずこの風船の広告がついていた。(右)福州⇒上海チケット。
12. 10日目 6月14日 上海
上海に到着。
私達は上海駅の荷物置き場に荷物を預け、行動を開始した。
上海は近代都市と言われるだけあり、もしかしたら北京より都会かもしれない。
道も狭く、チャリ用の道もなく、中国に来て初めて自動販売機を見た。
普通に道を歩いていたら「ルイ・ヴィトン」と声を掛けてくる物売りがいたりして、
「なーんか都会ってなー!!」と言わずにはいられなかった。
上海は特に見所もなく、とりあえず唯一有名な「豫園」という中国庭園に向かう事にした。
ところが、どうにも豫園の近くにいることはわかっているのだが、辺りには庭園やら寺やらいっぱいあり、豫園がどれなのかイマイチよくわからない。
迷っているうちに、私達はだんだん豫園はどうでもよくなり、気づけば見つけた食堂やレストランで2食ほどしていた。
その後私達は、まなっぺがどうしても行ってみたかったというレストランへ向かった。
しかし席に着くと、このレストランでは最低でも50元以上頼まなくてはいけないという事がわかり、
さすがにこれから50元以上食べるほどの余力はなく、仕方なくそこを去った。
外に出ると、中国人が列を作っている。中国人なのに並んでいる。
列の先が何かと見ていると、どうやらセイロがたくさん積んであるので、肉まんか何かのようだ。
値段も安そうだし、とても人気のある品のようだったので、私達も並んで買う事にした。
一度に大量生産は出来ないようで、カナリ待ったのだが、その甲斐が十分にあったと思えるほど、その肉まんはとんでもなくおいしかった。
口に入れた瞬間に肉汁が広がり、お腹いっぱいのはずが、あっという間に1セイロ分(10個くらい)はなくなった。
列に並んでいる間に、今晩雑疑団か京劇のどちらかを見ようという話になった。
悩んだ末、雑技壇はサンパレス他結構簡単に日本でも見る事が出来るが、京劇はなかなかチャンスがないのではないか、という結論になり、
京劇のチケットを探す事にした。
あいにくガイドブックには情報が少なかったため、本屋に入り、立ち読みして探した。
もちろん中国語なのでよくわからないのだが、それっぽいものを見つけて劇場の場所を突き止め、チケットを購入。
京劇を待つ間に、デパ地下のような場所を通過したところ、そこでたくさんのエッグタルトが売っている。
そうか、エッグタルトはレストランで頼んで食べるものではなくて、ベーカリー感覚でこういうところで買うものなのか!
私達はエッグタルトを見つけるたびに買い、それらを食べ比べながら、劇場へと歩いた。
京劇は2本仕立ての構成になっていた。
本屋で立ち読みをした際に、「電光字幕が出るから理解出来る」というような事が書いてあったので安心していたのだが、
いざ始まってみると、字幕は中国語だ…。英語だと思ってた…。
1本目はバック転やその他色々な芸が組み込まれていた上に30分ほどだったので楽しく見る事が出来たのだが、
2本目はちょっと長く、気づいたら私達は2人とも夢の世界に飛んでいた。
京劇は、舞台袖で劇に合わせて生演奏をしているのだが、女子十二楽坊が持っているような楽器ばかりだったり、
お客さんとの声の掛け合いがあったり、京劇独特のあの節回しなど、雰囲気を味わう事が出来て、大変良い経験になった。
(左)京劇のチケット。 (中)昼の上海。 (右)夜の上海。。ネオンだらけ。都会〜!
京劇が終わり、この晩宿のない私達は、小室哲哉がプロデュースしたというディスコへ向かった。
ディスコ(というのも死語?)は、それなりに賑わっており、私達はカウンターで酒を飲んでいた。
あわよくば誰かナンパしてこないかなぁと期待していたのだが、誰も寄って来る気配はなく、
ふと横を見ると、現地の垢抜けない青年が2人、静かに佇んでいた。
きっとこいつら、ナンパしたいけど声をかける勇気もないんだろう。
というわけで、こっちから声をかけ、彼らと外に出て晩ご飯をおごってもらった。(※恐喝ではない)
こうしてナントカ無銭で夜を明かし、朝のバスで上海駅へ。
ここからは2人とも爆睡で、気づいたら日本に着いていたのだった。
あ〜濃い旅だったなぁ。
ね、まなっぺ♪
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